Working
Towards
Peace

 

International Peace Conference on Chittagong Hill Tracts
24-26 February 1997 Bangkok, Thailand

チッタゴン丘陵地帯の和平に関するバンコク宣言

<1997年2月26日>

 

 アジア・太平洋、アメリカ大陸、ヨーロッパ、オーストラリアのおよそ20ヶ国から政府オブザーバー並びに40を越える組織を代表して、70名の代表が1997年2月23日より26日に掛けてバンコクで会合して、チッタゴン丘陵地帯(以下、CHTと略す)の状況を検討し、CHTの先住ジュマ民族とバングラデシュ政府の間の和英と和解のための交渉の手助けとなる方途を探った。

 当初会議への参加を予定していた26名のバングラデシュ代表(ベンガル人とジュマ民族を含む)の、タイへの入国が出来なかったことに遺憾の意を表する。

 CHTの現状、ならびに政府とJSS(Jana Samhati Samiti)間の交渉の状況を話し合い、最近の交渉の場で当事者たちが取る立場と表明した見解を検討し、あわせて現地の状況に関する報告を聴取したあと、本会議の参加者は、

  1. バングラデシュ政府とJSSの和平の話し合いが再開されたことを歓迎し、あわせて交渉を通じた平和的な方法によって問題を解決しようとする両者の公に表明された方針を歓迎する。
  2. CHTにおける紛争の継続とその結果民間人が被る被害に対して懸念する。
  3. レイプ及び他の性的暴力が頻繁に発生していることを含む、一貫した人権侵害について危惧する。
  4. バングラデシュ政府がCHTへの新たな入植者の流入を停止する決定を行ったにもかかわらず、何らの防止措置がとられなかったために入植者の流入が継続しているとの報告を受け懸念する。
  5. の紛争でバングラデシュならびにその民衆が負う多大の負担を意識する。
  6. CHTにおいて生じている人権侵害が、紛争の根本原因が取り除かれない限り、そして取り除かれるまでは止むことがないであろうと確信する。
  7. 以下の事柄が紛争の根本原因であるということを留意する。
  8. 1993年に合意されたトリプラ州(インド)からのジュマ難民ぞほんごくきかんに関する16項目の一括協定が今日まで誠実に実施されておらず、そのため難民の帰国が停止していることに留意する。
  9. インドの難民キャンプの状況について懸念する。
  10. バングラデシュの市民社会の一部で和解に向けた努力について積極的な貢献がなされていることを歓迎する。
  11. 和平の話し合いが再開されたにもかかわらず、解決への歩み寄りの上で重大な障害が依然として存在していることに留意する。

したがって、恒久的な平和と和解を達成するために会議参加者は、以下のことを要請する。

  1. CHTの先住ジュマ民族の独自の民族的、文化的アイデンティティを承認し、憲法で保証された地域的自治の機構を通じてこれらの者のアイデンティティを保護、促進するための効果的な措置を実施すること。
  2. CHTへの入植者の流入を効果的に阻止するとともに、CHTからの入植者の撤退のための計画について当事者間で合意がなされること。当該撤退計画は、あらゆる関係者の人権を尊重しなければならない。また、再移住の対象よなる者に対する財政的な奨励措置または補償を、計画に含めることが出来よう。
  3. 土地の所有権をジュマに返還し、将来的には同民族が保持し続けることを確保する、慣習的な権利と両立する法的に保護された土地の権原の制度を発展させること。
  4. CHTの土地と自然資源を利用し、管理するジュマ民族の慣習的な権利を承認し、保障すること。
  5. CHTの脱軍事化のための日程表を採択すること。
  6. 憲法で保障された権限を有する自治機関を持つ行政地域として同地域を承認すること。当該地域の地域は憲法で保障され、憲法の改正手続きならびにCHTの先住ジュマ民族の代表機関が十分な情報を得た上での同意なしではその地位を変更できないこと。先住ジュマ民族から民主的に選出された地域評議会を創設すると共に、CHTのすべての先住民族、女性ならびに少数者の住民が代表されることを保障すること。投票議会は、予算上の権限を含む政策と執行のための実効的な政治権限を有さなければならない。
  7. 国連の女性差別撤廃条約で定める女性の権利を含め、人権を尊重すること。

会議の参加者以下を勧告する。

 -バングラデシュ政府とJSSに対して、

  1. バングラデシュ政府とJSSの双方にとって受け入れ可能な、一名もしくは複数の推進者(afacilitator/s)が当事者たちのために行動し、当事者間の相違点を解決する上での手助けをするよう要請する。
  2. バングラデシュ政府とJSSの代表者ならびに再定住の分野の国際的な専門家で構成され、両当事者が合意した合同委員会を創設し、当該委員会がCHTの外への入植者の再定住計画を調査し立案し実施すること。
  3. 両当事者間ですでに実施されている停戦を延長すること。
  4. 1949年のジュネーブ条約の共通第3条を尊重すること。

(以上)

(原文は英語;)


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