CHTの自然と環境
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  チッタゴン丘陵地帯の自然と環境      !!!工事中です!!!

Contents

1. 丘陵地帯の外観
2. 面積
3. 気候
4. カルナフリ川とカプタイ・ダム
5. 森林と動植物(準備中)
6. 天然資源(準備中) 

 

1. 丘陵地帯の概観

CHTの位置
   
北緯
21.25゜- 23.45゜
東経
91.45゜- 92.50゜
海抜
北部300m-600m
南部450m-870m
   
 

 

 チッタゴン丘陵はヒマラヤ山脈から分岐し南のアラカン半島へ向けて連綿と続く山岳地帯の一部であり、トリプラ丘陵とアラカン・ヨマ(Arakan Yoma) の間に位置する。標高は300メートルから600メートル程度で、例えばカプタイ湖の海抜は僅か40メートル程度にしか過ぎない。一番高い山はバンダルボン県の中心近くにあるKyokra-Dongで標高1230メートル。そして、この山がバングラデシュでもっとも高い山である。[標高図参照]

 丘陵地帯はその険しい丘陵と、比較的平坦で米作などが行われている盆地部と、そして1960年に完成したカルナフリ水力発電ダムによって出現したカプタイ湖によって形成されている。また、それぞれ大きな川によって形成された6つの盆地によって構成されている。カプタイダムを中間として北部のチャンギ盆地、カサロング盆地、マイニ盆地と南部のマタムフリ盆地、ランキョング盆地、サング盆地である。盆地の比較的広い平野には町や集落が形成され、稲作が行われていたりする。

 丘陵地帯の土地はガンジス河やブラマプトラ河とその支流が氾濫によって豊かな土を常に供給してるバングラデシュの平野部とは異なり、土壌は痩せていて下の図の通り水田や畑作などの農耕に適した土地はわずか2パーセントしかない。

土地の等級  % エーカー  ヘクタール  備考
除外 25% 839,783 340,115  保護林
Class A  2% 76,466 30,969  全農業適合地
Class B 2% 67,871 27,488  果樹園適合地
Class C 11% 366,622 148,482  果樹園適合地
Class D 55% 1,816,993 735,882  森林適合地
Class C-D 1%  32,024 12,970  森林適合地
湖、川、市街地 4% 132,184 53,535  水資源および居住地
合計 100% 3,331,943 1,349,449  

出典: Task Force, quoted in PCG, 1999

 

2. 面積 (出典;GRAPHOSMAN District Map Series, Hill District. Bangladesh Statistical Yearbook(BBS)1996)

  •  バングラデシュ全土  14万4千平方キロメートル
  •  チッタゴン丘陵地帯   1万3千平方キロメートル
     (内、カプタイ発電ダム湖面 
    1036平方キロメートル)

  バングラデシュの面積は北海道を除く日本の面積のおよそ半分に相当する。チッタゴン丘陵地帯は長野県(13,585平方キロ)とほぼ同じ。

 バングラデシュは雨期と乾期で地表面積が変わり、また、例年の洪水で大河とその周辺の地形は大きく変化する。特に"char"と呼ばれる川中島については、最近の護岸工事などの影響で、そこで暮らす人々の生命と財産が危険にさらされるほど、大きく変化している。その点、CHTに関しては丘陵地帯のため洪水による地勢の変化はない。ただし、政府の統計が正確かどうかについては検討の余地がある。

表1 CHT各県の面積
   県 面積(Sq.km) 森林 現耕地 非耕作地 耕作不適地
カグラチャリ 2699.55 56% 13% 6% 25%
ランガマティ 6116.13 2% 6% 1% 91%
バンダルバン 4479.03 28% 12% 6% 54%
  全体 13,294.71 23% 9.4% 3.7% 64.8%
  • 全体の数値は計算上得たれたものです。正確性は保証できません。
  • 非耕作地及び耕作不適地の概念は明確ではありません。これらの中に"カース地"と呼ばれるかつての焼き畑跡地が含まれていると考えられます。

 

3. 気候

 バングラデシュは高温多湿の熱帯モンスーン型気候に属し、インド洋で発生する台風であるサイクロンの進路にあたり、しばしば大きな被害が出ている。1991年のサイクロンはチッタゴン丘陵地帯も直撃した。

 バングラデシュは熱帯モンスーン気候の特徴として、第一に雨が多いことが挙げられる。西部で年間約1000mm、ダッカで2000mm、そして北部のアッサム丘陵近くでは年間5000mmもの降水量を記録する、という。南東部にあたるチッタゴン丘陵地帯(ランガマティ)では2600mm。因みに日本では東京で年平均1300mm程度、屋久島で4000mmを超える。

 バングラデシュの季節は6季に別れ、言うまでもなくCHTも同じ。

 ・ Basanto 春   2月〜4月
 ・ Grishma 夏   4月〜6月
 ・ Barsha  雨   6月〜8月
 ・ Sharat  秋   8月〜10月
 ・ Hemanto 霧  10月〜12月
 ・ Sheet  冬   12月〜2月

 

 しかし、バングラデシュ全体がそうであるが特に丘陵地帯の南部の気候上の最大の特徴は、湿度が高いということである。例えば首都ダッカの場合、雨期であれば晴れていても湿度は70%前後もある。そのため室内の風通しの悪い場所にあるものは湿気るというよりも濡れた状態になり、パソコンなどの電子機器は油断すると水のためにショートし使えなくなる。また、風通しをよくしておかないと部屋中がカビに覆われることになる。

 12月〜2月までの冬は乾期で比較的乾燥しているが、このころになるとバングラデシュ全体を濃い霧が覆うようになる。所によっては昼近くまで霧が消えない。

 多湿である点を除けば、バングラデシュの気候は穏やかで過ごしやすい。煉瓦やセメントで固めた風通しの悪いビルはともかく、特に丘陵地帯の竹作りの家や厚い土壁に窓をガラスでふさいでいない昔ながらの作りの家屋は雨期でも快適である。

 下記の表はランガマティ気象観測所(北緯22.63°東経92.20°海抜63m)におけるデーターだが、若干異なる統計がいくつか存在する。気温は1957年から1987年までのデーターに基づく統計で、雨量は1959年から1977年までの平均。

最高=一日の最高気温(摂氏)の平均
最低=一日の最低気温の平均
雨量=月別降雨量の平均

1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年間
最高
26.3
29.1
32.7
33.5
33.1
31.1
30.6
31.0
31.7
31.4
29.2
26.5
30.5
最低
15.2
17.0
20.6
23.4
24.7
25.1
25.1
25.1
25.3
24.2
20.8
17.0
22.1
雨量
6.0
18.7
32.9
105.9
216.1
617.0
644.4
450.5
278.8
187.5
62.7
14.9
2653.5
平均気温: RANGAMATI data derived from GHCN 2 Beta. 343 months between 1957 and 1987
平均雨量: RANGAMATI data derived from GHCN 1. 219 months between 1959 and 1977
http://www.worldclimate.comより

 残念ながら湿度に関する統計はいくら探しても見あたらない。


4. カルナフリ川とカプタイ・ダム

 インド・ミゾラム州のルシャイ丘陵を水源として南に下ってチッタゴン市から19キロ下流にある河口からベンガル湾に注ぎ、総延長は270km(北海道の石狩川と同じ長さ)。 CHTでは Kynsa Khyoungという名称で知られている。カルナフリ川はランガマティから蒸気船の航行が可能で、綿や森からの産物を運ぶのに利用されてきた。

因みに、CHTの集落の名称でカグラチャリなど-チャリ、あるいは-チョル(-chari)と接尾語が頻出するが、これは「川」の意味である。

  川を下って丘陵地帯と平野部の中間の町チョンドラゴーナに巨大な製紙プラントが建設されたのは1953年である。チョンドラゴーナ製紙工場は竹を原料とする製紙工場としては世界最大級の規模を誇り、1950年代から60年代にかけてはパキスタン工業化の象徴として海外からも多くの見学者が訪れた。原料となる竹は丘陵地帯で伐採されカルナフリ川を下って運ばれてくる。そのため竹の乱伐が森林環境の悪化を招いている。なお工場は丘陵地帯の竹を99年間にわたって採取利用する権利を有している。

 また、工場からの汚染された排水が浄化処理もされないままカルナフリ川に放出され水質を悪化させており、また、苛性ソーダー工場や窒素肥料工場などからは水銀などの有害物質も排出されてきた。これらの工場の多くは建設や修復などで日本の援助を受けている。水銀を排出していた苛性ソーダー工場は1988年までに日本からの有償援助で水銀を利用しない製法への転換が完了しているが日本国際協力銀行が行った2000年のモニタリング調査でも依然として周辺環境が高濃度に汚染されていることが明らかとなった。

カプタイ・ダム

  カプタイ・ダムは、カルナフリ川を堰き止めて作られた発電ダムである。第1ダムの建設はアメリカ政府の援助で1957年から1963年に掛けて行われ、当時、東パキスタンの総発電量の約6割をまかなったが、現在は約0.5%をまかなう過ぎない。このダムにはチッタゴン市周辺の紅茶、ジュート、タバコ、綿などの加工工場に電力を供給し、また平野部の広大な農業地域に対する灌漑用貯水池としての役目がある。

 ダムの湖面の広さは1,036km2で、東京都の面積の約2分の1に匹敵する。ダム湖は21,853.04ヘクタールの一般田畑と焼畑地を水没させた。水没した平坦な土地はCHTの一般耕作地の約4割にあたり、もっとも肥沃な土地であった。そのため、カルナフリ周辺はCHTの中でも比較的人口が密集しており、従って当時の人口の3割にあたる10万人(平地農民1万家族と焼畑農家8000家族)の土地を奪った。

 第2ダムの建設は1979年から1982年に掛けて日本の援助で行われた。ダムは軍事的にも重要な位置を占め、バングラデシュ政府はここに海軍を駐留させてきた。つい最近になるまで、ダム周辺は立ち入りが厳しく制限されてきた。なお、周辺の利用可能な土地、及び乾期に出現する土地の利用に関し、97年12月の和平合意で、初めてジュマ民族に賃貸する事が明記された。

カプタイ・ダムの主要な問題点

1. 湖面の上昇 現在、ダムの湖面上昇を伴う第2次発電機増設計画は事実上凍結状態である。計画が実施されると湖畔住民の土地を水没させ居住及び耕作に多大な悪影響を及ぼすことから住民の反対が強く、世銀などの国際機関も反対している。また、融資先である日本国際協力銀行も融資に慎重な姿勢をとっている。

 しかし、1980年頃に日本の援助で発電機2基を増設する第2ダムが建設され、またダム建設から40年以上が経過しているが湖底の浚渫が行われていないことなどから実際の湖面の水位はダム計画時の設定を大幅に上回り、写真のように雨期には多くの家屋が半水没の状態になる。

2. 管理 カプタイ・ダムの水位等を監視し適切な運営を行うためにチッタゴン管区長(コミッショナー)を議長とし、CHT3県の評議会議長、チャクマ王、マルマ民族のブモン、ボモン両王など住民側の代表を含む管理委員会があるが過去一度も招集されたことはなく、ダム運営に住民の声が反映されない。ダムの水位については、住民生活に多大な影響を与えることが予想される水位調整の場合でさえ周辺の行政組織や住民に知らせるシステムすら機能していない。また、ダム湖全域は海軍によって厳重な警備が行われており、特に外国人は予め許可を得なければ発電所施設内に立ち入ることは出来ない。

3. その他 
・ダム湖周辺はランガマティ、カプタイなどの市街地域を除くと殆ど電力が供給されていない。
・ダム湖は優良な淡水漁場となっているが、漁業権はベンガル人に優先的に与えられており先住民族は排除されている。和平協定でその改善が合意されたが、依然として改善されていない。

■ 水産資源

■ 森林

 CHTの森林面積はバングラデシュ全体の森林面積の約6割を占めている。

Copyright (c) 1999 ジュマ協力基金 Japan CHT Committee
jcchti@alles.or.jp