Open Officeを使おう
2004年4月 村田 記
OSにWindowsを使っている人で、もしも可能ならマイクロソフト社のOfficeやOutlook Express を使いたくない、と思っている人は結構多いはずだ。その膨大で複雑なシステムは常にセキュリティの欠陥を抱えているという宿命を帯びているし、加えて高い普及率はネットワークへの攻撃者の格好の餌食となっている。Microsoftのソフトウェアに向けて世界中のクラッカーが日夜ウィルス開発に汗を流しているのだ。
使いたくないもう一つの理由としてマイクロソフト=悪の帝国のようなイメージをお持ちの方もいるだろう。巨大企業はそれ自体として憎悪の対象になりやすいが、ユーザーからすればまるで税金のようにマイクロソフトに金を払う仕組みになっている。
こうして多少ともコンピューターに関心があり、生活に欠かせないツールとしてパソコンを使っている人は可能ならOSをWindowsからUNIX系のLinuxやBSDへ、あるいはMacintoshへと乗り移りたいと思っている。
ところが問題は、現在のビジネスシーンではMicrosoft WordとExcelは必須だという事情にある。政府機関でも、NGOでも町内会でもその事情は変わらない。MacはともかくとしてUNIX系のアプリケーションソフトに関する情報は一般のWindowsユーザーからすれば極端に少なく、例え技術的にクリアする自信があっても最後で思いとどまってしまうのはその点での不安を解消できないからだ。
そうした不安を一気に解決してくれるのがOpen Officeである。このOffice統合ソフトはSun Microsystems が開発、無料で配布し、日本語を含めいくつもの言語にローカライズされている。そして、Microsoft Windows、Mac OS X、Free BSD、Linux、Solaris(UltraSPARC) の各OSにインストールできる。
Open Officeの特徴と機能
Open Office 日本ユーザー会 http://ja.openoffice.org/ は次の特徴を挙げている。
・ ワープロソフトや表計算ソフトなどを統合したオフィスソフト
・ MSオフィスと高い互換性を持っている
・ 無料で手に入って、自由に使える
・ 「オープンソース」で開発されている
一般ユーザーにとっての最大の特徴は何と言っても無料で自由に使えるという点だが、現在のオフィスシーンではMS Officeとの完全な互換性が必須であるが、この点での不安はない。また、オープンソースであることで世界中のユーザーによる改良が可能となる。この点は一般のユーザーには余り関係ないので説明は省く。
では、どのようなソフトが組まれているのか、MS Officeとの関係で見てみよう。
機能
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Open Office
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MS Office
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文書作成 | Writer | Word |
表計算 | Calc | Excel |
プレゼンテーション | Impress | Power Point |
図形描画 | Draw |
文書作成ソフト、プレゼンテーションソフトなどはほぼMSと同等の機能を備え、表計算ソフトはデーターベース機能も含まれている。これは、詳しいことは知らないがやはりExcelと同じ程度の機能と見て良いだろう。図形描画ソフトはその名の通りDraw 系のソフトだ。
出力形式 (保存、書き出し)
Writerの保存形式はOpen Office形式、テキストおよびリッチテキスト、HTMLは当然としてMS Word (Ver.6以降)、それとStar Writer形式がサポートされている。但し、HTMLはMS Word同様によけいがタグがわんさか付いて重くなるので余りお奨めは出来ない。例えば、ホームページ作成ソフトとして定評があるMacromedia Dreamweaver をお使いならば、MS Officeで書き出したHTMLの余分なタグを自動的に削除してくれる機能があるが、残念ながらその機能の恩恵には与れない。
しかし、このソフトの最大の利点はPDFファイルを書き出す機能があらかじめ備わっていることである。Adobeの有料ソフト以外でデフォルトでこの機能を備えているソフトは他にあるのだろうか。通常であれば、Adobe Acrobatを購入しなければ例えばMS WordからPDFファイルとして書き出すことは不可能である。
難点
HTMLの難点は今後改良され克服される可能性があるが、必要性から考えると優先順位は低い。このソフトの最大の難点は何と言っても動作が重い点にある。が、これは現在の高性能なマシーンを使っている人には余り関係ないのかも知れない。因みに、筆者が使っているのはPentiumⅡ266MHzでメモリーが96MBという。MS Officeなら問題なく動作するが、Open Officeの推奨スペックからすれば全然問題にならないくらいのかなりの低スペックだ。フリーソフトはもっと軽さを重視して貰いたい、と思うのは僕だけだろうか?
発展途上のソフトなので、不具合はいろいろとあるようだ。原則的に不具合はユーザー参加型で修正されていくと思う。現在の日本語バージョンはOOo.1.1.0(2003年10月)だが、2004年4月頃には次のバージョンがリリースされ、不具合は改善される模様である。
おわりに
WindowsやMacユーザーはともかくとして、Unix系、とくにLinuxに乗り換えた人の多くがこのソフトを利用しているようで、最近は書店のコンピューター雑誌コーナーにはOpen Office関連のムック(雑誌と単行本の中間)も多数並べられている。興味のある方は参照されたい。
フリーソフトを導入する場合、ユーザーの責任で、が原則だ。しかし、またフリーやシェアウェアの方がバグや各種不具合などユーザーの声を素早く反映して修正される傾向が強いというのはOpen Officeでも同様である。ハードディスクに余裕があればお試しで利用されるのも良いし、また、Windowsユーザーについては、複数のOSをインストールできるので いきなりLinuxやFree BSDに乗り換えるのではなく、一台でもWindowsとそれらのOSを併用できるのでWindowsに不安や不満を持っている人は試してみる価値はある。(注※)
参照サイト
Open Office 日本ユーザー会 http://ja.openoffice.org/
ここからこのソフトに関する様々な情報が得られます。また、ダウンロードも出来ます。
(注※) WindowsでOSを同時に二つ以上インストールできないのは、例えばWindows98日本語版と英語版。98日本語版と2000英語版では可能。XPについては知りません。なお、Microsoftの保証外ですが、98の日本語版と英語版を一台のコンピューターにインストールすることを可能とするフリーソフトはあります。また、XPの英語版にはデフォルトで日本語IMEも含まれており、Control panel 『Date, Time, Language, and Regional Options』で設定できます。
お願い
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